小学6年生のヤンチャ盛りの男の子、毎週辞める気満々でレッスンにやって来ます。そうは言っても幼稚園から続けているので耳が良い、そしてセンスもあるので何とかピアノを楽しんでほしいと思っていました。
来年、彼が中学生になって直ぐに発表会が決まりました。未だすこし早いとは思ったのですが、頑張って集中してくれればこれからの道標になるかとソナチネアルバムから曲を選びました。
「こんな曲だよ…」と弾いてみると目が輝いています、「あれ?」と思う間もなく「この曲が良い」と喜んで帰って行きました。
後日お母様から聞いたお話では、その曲はお父様が昔弾いていて今でもたまにお家で弾かれている曲だったのです。
お父様がお好きで弾いている曲を自分が弾く…そんな素敵な事がおこるなんて。
昔から愛されてきた曲ならではだと思いました。
子供達は学校、塾、様々な習い事で毎日忙しくいつ迄ピアノに関われるかわかりませんが、ピアノに向き合う事で得られる集中力、達成感、気持ちの深呼吸、癒し…全てのことがこれからの人生の栄養になってくれたら。 そして誰かの想いのバトンを受け取り自分の想いをのせて、又誰かにバトンを渡していく。
何百年もの間人々が繋いできた音楽のバトン、大切にしていきたいです。
何かを身につけるのは大変な事です、それこそ何年も何年もかかります、でもそれは自分の心の財産。 高度な技術を楽しむ事も出来るようになるかもしれません。
人生を豊かにする音楽に携わっている事、素敵な生徒さん達に恵まれている事は私の大きな幸せです。